【マーケティングとは】はじめに
商品を販売する際には、市場調査やプロモーションといった「マーケティング」は欠かせません。
さまざまな仕事のなかでも、流行を先取りして消費者のニーズをつかむマーケティングは、華やかさとやりがいを見出せる魅力的なポジションとして人気を集めています。
しかし、マーケティングの仕事について実情を深く知らないままに就職活動を始めてしまうと、就活の途中や就職後にイメージとのギャップを感じてしまうケースも多いでしょう。
そこで今回は、マーケティングとは何かについて詳しく紹介します。
【マーケティングとは】一口に言うと
マーケティングの仕事を一口に言うならば「忍耐との戦い」にほかなりません。
なぜならマーケティングの仕事とは、データ収集や分析を重ねて利益の最大化を目指す、理論的な成果の積み重ねであるからです。
もちろん、社会や経済に対する好奇心やバランス感覚はもちろん、論理的な思考を組み立てる能力やコミュニケーション能力もマーケティングには大切な要素といえます。
しかし、マーケティングの土台となるのは地道な作業の積み重ねである以上、忍耐との戦いがもっとも重視されると覚えておきましょう。
計測と施策の繰り返し
マーケティングにおける「忍耐と戦いながら積み重ねる地道な作業」とは、計測と施策の繰り返しのことを指します。
自社で行う市場調査などのリサーチをもとにしてマーケティングをしますが、各段階で得られた反響や効果の計測も大切な仕事です。
商品やサービスに対する認知度や理解度、購買行動、好感度といった効果の計測とは、膨大なデータ収集と的確な視点による分類といえます。
また、その効果の計測をもとにさらなる施策を提案するのも重要です。
施策では、計測で得られた数値の的確なデータ分析や、それに基づく魅力ある戦略の提案をします。
この施策では、具体的かつ説得力のある数値データの提示が必要となるため、あらゆる計測結果と向き合う忍耐力や的確な分析力も必要とされるでしょう。
このように、計測と施策を交互に重ねていくことが、実際のマーケティングに関する業務内容なのです。
【マーケティングとは】マーケティングって何?
マーケティングの仕事とは、計測と施策からなる忍耐との戦いだとわかったところで、そもそもマーケティングとは何か、今一度ひも解いてみましょう。
たくさんの購買者が存在する社会において、自社の商品やサービスの売り上げアップを目指すのが企業です。
そして、その商品やサービスをもっとも効率よく効果的に販売するための行動が、マーケティングとなります。
いわゆる「売れる仕組み」を作って、顧客ニーズをくみ取って発信するのが目的といえるでしょう。
「誰に・何を・どのように」を考える
顧客のニーズをくみ取って最適な情報を発信するためには、その商品を「誰に・何を・どのように」売るのかといった方向性が重要です。
この部分を考えないままで商品を売り出してしまったとしたら、その商品に潜在的なニーズをもつ顧客に情報が届かず、本来手にできたはずの利益を得られないかもしれません。
そのためマーケティングでは、「誰に・何を・どのように」という、基本的な販売の土台を組み立てることが何よりも大切なのです。
誰に
商品を誰に売るのかを考えるのが、ターゲティングです。
商品を売り出そうとする市場には、さまざまな年齢や職業、趣味などの属性をもったユーザーが多数存在しています。
その属性ごとにセグメンテーションと呼ばれるグループ分けをしたら、売りたい商品やサービスの強みが最大に出せるグループをターゲットに設定しましょう。
ターゲットを定めたら、製品のコンセプトや特徴はもちろん、ときには弱みも踏まえ、有効なマーケティング戦略を展開していくことになります。
このように、ターゲティングによって、商品を購入する可能性の高いターゲットを的確に定めれば、その効果を最大に発揮できるといえます。
また、ターゲットを明確にすると、その層に訴求できるマーケティング手法も、おのずと定まるでしょう。
そのため、ターゲティングが的確でなかった場合にはすべての計画の変更を迫られるほど、この「誰に」という要素はマーケティングの根幹でもあるのです。
何を
ターゲットが何を求めているかという観点も重要です。
何を求めるかは、ターゲット層によってある程度の傾向やトレンドをつかめるため、ターゲットごとの潜在的なニーズを分析し、洗い出せるでしょう。
また、求められるものには、重さや形、使用用途といった単純な商品スペック以外にも癒やしや楽しみといった概念も含みます。
そうしたイメージと一体化した情報をターゲットに届けるマーケティング活動が大切になります。
たとえ同じ商品であっても、癒やし効果を前面に押し出すケースや、機能性の充実をアピールするケースなど、ターゲットの求めるものが違えば商品価値の見せ方にも大きな違いがあるのです。
このように、何を求めているかという部分がうまくくみ取れないと、商品の価値や魅力を十分に伝えられません。
しかし、ターゲットが求めるものを提示できた場合には、他社の競合製品との差別化もできるため、ライバルよりも一歩先のビジネスをマーケティングによって実現できるでしょう。
どのように
「誰に・何を」という方向性が定まったならば、最後に「どのように」伝えるかという手法を決定します。
ターゲットを特定しない大衆向けのマスマーケティングであれば、テレビなどの大規模なメディアを利用した広告が有効です。
しかし、ターゲットと求めるものが限定的であれば、どのような手段で伝えれば商品の購入につながるのかをよく検討しなければなりません。
まず、誰に向けて発信するかを踏まえて、そのターゲット特有の行動からインターネットや特定の雑誌といった有効な集客チャネルを考えます。
さらに、何を求めているかという要素をプラスすることで、そのターゲットの目に留まりやすく、高い効果の見込める媒体がいくつかに絞られてくるでしょう。
現在では、SNSの普及や動画コンテンツの人気とともに、伝え方にもそうしたトレンドを取り入れる動きは活発化しています。
また、持続可能な社会を意味する「SDGs」などを取り入れた、社会貢献を踏まえたマーケティングも人気です。
【マーケティングとは】調査9割・施策1割
先に述べたように、マーケティングとは計測と施策の繰り返しです。
その内訳は調査が9割で施策が1割といわれています。
そのため、新しい施策を打ち出すための好奇心や発想力に自信があっても、作業の9割を占めている調査がないがしろになってしまえば、マーケティングは失敗しかねません。
施策の提案は、発想力だけを頼りにするわけではなく、9割の調査に支えられています。
緻密な調査と分析が行われたならば、利益を最大化できる施策がおのずと見えてくるでしょう。
マーケティングとは膨大の調査がもとになる
マーケティングの最初の一歩は、市場調査(マーケティングリサーチ)です。
市場調査には、人数といった膨大なデータを集計し分析する「定量調査」と、数値には表れない行動や意識を分析する「定性調査」があります。
アンケートなどのデータの蓄積といったインターネット上で行うものから、実際の店舗に足を運んで時間をかけて行う調査まで、そのスタイルはさまざまです。
ときには、より詳細なデータを得るために座談会を開催して、積極的にユーザーへ働きかけてニーズの掘り起こしをはかることもあるでしょう。
また市場調査の前には、マーケティング課題を整理して、それに答えるためのリサーチ課題を考え、どのようなリサーチを行うかという調査企画も必要となります。
このようにマーケティングで行う調査とは、地道な作業でありながら緻密な計画性が必要となるのです。
【マーケティングとは】まとめ
企業のなかでも華やかなイメージで人気の高いマーケティングという職種ですが、その成果を支えているのは9割の調査という地道で忍耐力が試される作業です。
マーケティング自体は直接的な利益を生み出す性質のものではないため、仕事の結果が見えるのに時間のかかることがほとんどだともいえます。
しかし、商品と顧客をマッチングさせる重要な役割のあるポジションであり、狙いどおりの効果が得られたときには、そのやりがいはとても大きなものとなるでしょう。