はじめに
マーケティング関連の仕事をしている方や勉強されている方であれば、ペルソナという単語に聞き覚えがあるはずです。
しかし、「ペルソナとは何か?」と質問された時に自信を持って答えられるという方は果たしてどれくらいいらっしゃるのでしょうか。
また、意味が似ている言葉に「ターゲット」がありますが、両者の違いをきちんと把握したうえで使い分けているという方も少ないと思われます。
そこで今回は、知っていても突っ込まれると困るマーケティング用語「ペルソナ」についてまとめました。
ペルソナとは?
ペルソナとは、自社のサービスや商品の典型的なユーザー像のことです。
何かを売り出す時はどんな人に向けたものにするのか決めなくてはなりません。
その時の仮想のユーザー像がペルソナです。
そこに設定されるのは、性別・年齢・職業のような大雑把な内容だけではありません。
それまでの人生の履歴や趣味など、まるでそこに実在する人物のようにリアルな内容が付け加えられます。
そのペルソナを使えば、よりユーザーの希望や志向に沿ったマーケティング戦略が立てられるというわけです。
このようにリアルなユーザー像を定義するメリットは、顧客のニーズにより深く寄り添えるという点にあります。
ペルソナの○○さんはどういうものを求めているだろうかと、決して曖昧でなく詳しいイメージが浮かぶようになるのです。
ターゲットとの違いは?
商品・サービスのユーザー像を考えるという点では、ターゲットもペルソナも同じです。
違いはどこにあるのかというと、人物像の設定の深さにあります。
ペルソナのほうがターゲットよりも、より深く詳細な人物像を決めておくのです。
たとえば、単なるターゲットであれば「料理が好きでこだわりたい30代の主婦」くらいしか決めません。
設定には少し幅を持たせているのです。
一方で、ペルソナは、氏名や実際の年齢のほかにも職業・家族構成・よく利用しているSNS・得意料理など、本当に存在している人のように具体的で詳しい設定を決めます。
ターゲットが似たような属性を持つ人のグループとすれば、ターゲットはそのグループを代表する人物と考えればわかりやすいでしょう。
なぜペルソナはマーケティングに重要?
ペルソナとターゲットは、設定の深さや詳しさが異なるということがわかりました。
しかし、「マーケティング戦略を立てるのであればターゲットだけ決めておけば十分なのでは?」と思った方もいらっしゃると思います。
また、詳細なユーザー像を設定するよりは、それぞれの顧客のニーズに個別に対応したほうが良いのでは?と考える方もいるはずです。
ただ、具体的で詳しいユーザー像を設定することには大切な意味があるので、以下でそれを解説します。
インサイト的な需要に気づける
ペルソナを作ることは、ユーザーのインサイト的な需要の発見につながります。
人が理由もなく動くことはあまりありません。
顧客の行動は無意識のうちになんらかの要因によって影響を受けているはずです。
自身も気が付いていない潜在的なニーズがその顧客の行動を決めることがあると言っても良いでしょう。
ペルソナを作れば、その潜在的なニーズに気づけるようになります。
もしそのニーズに応えられれば、他社の類似したサービスや製品と差をつけられるため、ユーザーの満足度を上げられるでしょう。
なお、この潜在的なニーズは漠然としたターゲットを設定しているだけではなかなか発見できません。
具体的な人格を持った生きたペルソナを設定することで初めて浮かび上がるのです。
具体的なイメージを共有できる
漠然としたターゲットを決めただけでは、たとえ同じプロジェクトの仲間であっても具体的なイメージを共有するのは難しいでしょう。
「30代」や「女性」といった言葉からどういうイメージを持つかは十人十色です。
しかし、ペルソナは本当にいそうな人物についての詳しい設定であるため、実際にサービスを受けたり製品を手に取ったりした時のユーザーの反応を想像しやすくなります。
さらに、生活環境や趣味嗜好に関しても明確な設定があるので、ドラマのように具体的なイメージが掴みやすく、形に残しておけばほかのメンバーにも簡単に伝わるようになるでしょう。
同じプロジェクトのメンバーだけでなく、交渉相手とも具体的なイメージを共有しやすくなるため、さらに効率的に仕事を進めていけるのではないでしょうか。
ユーザー目線での商品開発ができるようになる
ユーザー目線での商品開発は、そのニーズに沿ったサービスとも言えます。
顧客が本当に欲しいと思っているものでなければ、まず売れませんし商品価値も低くなってしまうのです。
しかし、ターゲットの目線でものごとを見るのは不可能でしょう。
たとえ同じ属性の人間でも、確かに似ている部分がたくさんあるとは考えられますが、それぞれが違う人生を送っており異なる目線を持っているからです。
だからといって、ユーザー像が見えないままでは開発を進められません。
しかし、まるで実在する人物のようにリアルなペルソナが設定されていれば、その目線でものを考えられます。
典型的なユーザー像であるペルソナのニーズに応えることで、より良質なサービスや製品を生み出せるのです。
ペルソナを作るコツとは?
マーケティング戦略を立てるのであれば、ペルソナの設定は大変重要です。
しかし、いきなり具体的な設定を作るのは並大抵のことではありません。
それこそターゲットを決めるよりもずっと難しいことと言っても良いでしょう。
固定概念や先入観が強すぎる場合も、精度が低くなってしまいわざわざペルソナを設定し利用する価値があまりなくなってしまいます
そこで、ここからはペルソナを作る時のコツについて詳しく説明するので、ぜひ参考にしてください。
テンプレに沿って作る
関係者全員が簡単にその人物をイメージできるように、ペルソナにはリアリティを持たせなければなりません。
慣れないうちはうまく作れないこともあるでしょう。
しかし、ドラマや小説の登場人物の設定とは異なり、テンプレに沿って作るだけで良いのでご安心ください。
テンプレは主に「ターゲット」「シチュエーション」「インサイト」「ユーザーの行動の変化」「提供するサービス内容」があります。
こちらに沿ってペルソナを作成しましょう。
まずは、上で挙げた大まかな要素を決めます。
そこから、各要素に対してもっとよく深堀りしていくことで、簡単に作れますのでぜひお試しください。
ユーザー像が完成したら名前や顔をつけるとよりリアリティが増します。
自分を対象に作って練習する
テンプレがあるとはいえど、急に正確でリアリティのあるペルソナを作成するのは難しいでしょう。
まったく架空の人物を何もないところから作り出すのは決して楽な作業ではありません。
そこで、正確に作れないうちは、自分をペルソナと仮定してペルソナ作りの練習をしましょう。
過去の自分をペルソナにするのであれば、過去にどのような困りごとがありどう解決したのか思い出してください。
現在の自分から作るのであれば、今どういったことに関心や興味があるのかということからアプローチしてみるのをおすすめします。
自分自身のことであれば、いくら潜在的だとは言えニーズを思いつきやすいはずです。
練習時は自分を対象にして作ってみましょう。
必要なインプットを大量に行う
より正確にユーザー像をイメージするには大量の情報が必要になります。
ペルソナについての情報は、その商品やサービスの典型的な利用者がどのような人物なのか判断する材料になるからです。
ですから、大量かつ必要な情報をインプットしておかなければなりません。
また、情報のが少ないと、ユーザーへの先入観からプロジェクトの関係者どうしであっても互いに齟齬をきたすおそれがあります。
そういったことを避けるためにも、情報は大量にインプットしていくようにしましょう。
また、製品のリリース後も、刻一刻と利用者は変化していきます。
それに合わせてペルソナにも必要な情報をインプットし、どんどんユーザー像をアップデートしていかなくてはなりません。
まとめ
ペルソナとは、自社のサービスや商品に設定された典型的なユーザー像のことです。
インサイト的な需要に気付く一助になるなど、マーケティング戦略を立てるには必要不可欠と言っても良いでしょう。
詳細かつ具体的な設定なので、どんな人が利用しているのかというイメージが誰にでもつきやすいというメリットがあります。
慣れないうちは、ペルソナを作るのは簡単ではないかもしれません。
しかし、テンプレを利用したり自分を対象に練習したりするなどで作る時のコツが掴めるのでご安心ください。