はじめに
近年、SNSはマーケティングに欠かせないツールとなりました。
SNSは拡散力が高く、費用対効果の大きなツールですが、使い方を誤ると企業イメージが一気に損なわれてしまう可能性もあります。
大手企業のSNS投稿が炎上し、火消しに追われる姿を見て、SNSマーケティングに踏み出すことを躊躇している企業も多いでしょう。
一方、SNSマーケティングは行っているけれど、思うように成果が上がらないとお悩みの企業も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな企業のマーケティング担当者の方に、SNSマーケティングを学べる本をご紹介します。
SNSマーケティングを学べる本の選び方
SNSマーケティングに関する本は数多く出版されています。
SNSマーケティング自体が新しい概念であり、絶対的な名著と呼べる本は存在しないため、万人に合う本をおすすめすることは困難です。
そのため、ここでは自分に合った本を選ぶ際の基準をご紹介します。
特に重要な基準は「読みやすさ」「発売日」「SNS媒体の種類」の3点です。
SNSマーケティングを学べる本を選ぶ際はこのポイントを意識することで、各自の悩みを解決する本に出合える可能性が高くなります。
読みやすさ
まずは読みやすい本から始めましょう。
読みやすいとは、内容が容易という意味ではなく、自分のレベルに合っているという意味です。
自分のSNSマーケティングに対する理解度や、何を知りたいのかを把握してから本を選びましょう。
SNSマーケティングを解説した本は数多く出版されており、内容もさまざまです。
そもそもSNSマーケティングとは何かという基礎知識の解説を読みたいのか、実際の運用方法や効果的なマーケティング手法など、ハウツーやテクニックを知りたいのかによって、適切な本は異なります。
また、持ち運びやすい電子書籍で読むか、行きつ戻りつしやすい紙の本で読むかも、読みやすさを大きく左右する要素です。
後ほどレベル別におすすめの本をご紹介しますので、ご自分に合った本を選ぶ際の参考にしてください。
発売日
SNSマーケティングに関する本は、できるだけ発売から日の浅いものを選びましょう。
SNSはシステムが日々進化しており、流行の移り変わりも激しいため、発売から月日が経っている本は情報が古くなったり情勢が変わったりして、役に立たない可能性もあります。
特にSNSマーケティングは、時代に合わせて変化させやすいことが特長の一つです。
古い情報にのっとってマーケティングを行えば、そうした特長をつぶしてしまうことになります。
より効果的なSNSマーケティングを行うためには、最新の情報を入手しなければなりません。
最新の情報や流行を押さえるために、発売から日の浅い本や、改訂版が出ているのであれば最新版を選ぶことをおすすめします。
SNS媒体の種類
SNS媒体の種類ごとに解説した本も出版されています。
SNS媒体はそれぞれに特色があり、得意とする分野やメインユーザー層が異なりますから、媒体によって採るべきマーケティング戦略も異なります。
そのため、解説本も各媒体に合わせて出版されているのです。
マーケティングの目的やターゲット層が決まっており、適した媒体もわかっているのなら、そうした本を選んでも良いでしょう。
一方、「まずはSNSマーケティングの基本を知りたい」「各媒体の特色がわからない」という方には、媒体を限定していない本をおすすめします。
初心者向けの本では各媒体の特色を解説している場合も多いため、そこで得た知識を元に各媒体に特化した本を選んでも遅くありません。
SNSマーケティングを学べるおすすめの本
SNSマーケティングを学びたいという方に、おすすめの本を12冊ご紹介します。
初心者編、中・上級者編、媒体特化編の3パターンに分類していますので、SNSマーケティングに対する理解度や、何を知りたいのかに合わせて選んでください。
絶対的な名著と呼べる本は存在しないため、先ほどご紹介したSNSマーケティングを学べる本の選び方も参考に、自分に合った本を選びましょう。
電子書籍には一部試し読みができるものもありますから、内容やレイアウトなども確認できます。
初心者編
まずは初心者向けに書かれた本を5冊ご紹介します。
いずれもSNSマーケティングの基本知識からSNSを運用するためのノウハウなど、幅広い情報を掲載している本です。
SNSマーケティングの概略を掴んだり、自社に必要な情報は何かを把握したりするためにも役立ちます。
「SNSマーケティングに興味はあるけれど、何から手をつければ良いのかわからない」「普段はあまりSNSを利用しない」という方は、こちらから目を通すことをおすすめします。
SNSマーケティングのやさしい教科書。
初めてSNSマーケティングに携わる方に向けて書かれた入門書です。
改訂3版まで出版されており、SNSマーケティング解説書の定番となっています。
SNSマーケティングとは何かという基本から、各媒体の特色や機能、広告を掲載する方法や広告の効果測定方法まで、幅広く解説しています。
特にFacebook、Twitter、Instagramにはそれぞれ1章を割いて詳しく解説しているほか、LINE、YouTube、TikTok、Pinterest、Snapchatにも触れており、この1冊でSNSマーケティングについてひと通り把握することが可能です。
また、実際にSNSマーケティングを行う際のノウハウやヒント、成功事例なども掲載されており、SNSマーケティングに乗り出すための指針としても役立ちます。
結果が出る[SNSマーケティング]てっぱん法則
SNSを使ったプロモーションを多数成功させてきた実績を持つ、森寛弘氏の著書です。
Facebook、Twitter、Instagramなどの特色を理解し、組み合わせて運用することで、成果を上げる方法を解説しています。
具体的なマーケティング手法や、著者が実際に成功した事例なども紹介されており、実践的な内容となっています。
本書に掲載されている「バズらせるための技術」を真似るだけで、誰でもSNSマーケティングで成果を上げられると説いている指南書です。
これからSNSマーケティングを始めようとしている方だけでなく、すでに始めているけれど思うように成果が上がらないという方にもおすすめします。
各媒体の特色を詳しく解説しているため、どのSNSを選ぶべきか判断する際にも役に立つでしょう。
僕らはSNSでモノを買う
著者はSNSマーケティング専門のコンサルティング会社「ホットリンク」の執行役員CMOである飯髙悠太氏です。
UGCとULSSASをキーワードに、本当に良いものを、それを必要とする人へ届ける方法を紹介しています。
UGC(User Generated Contents)はユーザーが自分の意思で投稿したコンテンツのことであり、著者はこれをモノが売れない時代を切り開くカギとしています。
さらに、近年では情報がUGC→Like(いいね)→Search1(SNSで検索)→Search2(ヤフー、グーグルなどで検索)→Action(行動・購買)→Spread(拡散)という流れに乗って伝播していくと説き、売れ続けるサイクルを構築する方法を解説します。
SNS活用偏とコンテンツマーケティング編の2部構成です。
「いいね」で売上を一気に倍増させる最新活用術! SNSマーケティング見るだけノート
SNSプロモーション事業を展開する株式会社ROCの代表取締役CEOで、SNSに詳しいITジャーナリストとしても活躍している坂本翔氏が監修した本です。
イラストを多用してSNSマーケティングに関する疑問を解説する、初心者に向けて書かれた一冊となっています。
マーケティングや各SNSの基礎知識、炎上を防ぐ方法など、基本的な知識から実際にSNSを運用するためのノウハウまで、幅広く網羅しています。
「見るだけノート」というタイトルの通り、視覚訴える作りになっているため、SNSマーケティングについて手軽に学びたい方やSNSマーケティングの概略を掴みたい方におすすめします。
この本で概略を掴み、詳しく知りたいトピックについてはさらに探究を深めるという使い方をすると良いでしょう。
デジタル時代の基礎知識『SNSマーケティング』 第2版
本書は「やさしい」「あたらしい」「つかえる」というコンセプトの下、日本におけるSNSマーケティングの第一人者・林雅之氏と本門功一郎氏が共同で執筆したものです。
企業のSNS担当者に突然任命された方でも理解できる本を目指し、SNSの選択などの基本的知識から、効果的な投稿内容などの実践的な内容まで網羅しています。
また、SNSマーケティング解説書の多くが媒体ごとに異なる活用法を提案しているのに対し、本書では6種類の媒体(Facebook、Twitter、Instagram、LINE、YouTube、TikTok)に共通する効果的な活用法を解説していることも特徴です。
さらに、大手企業を含め多くのSNSアカウントに対しコンサルティングや運営支援を行ってきた著者の経験を活かし、実例にもとづいたテクニックも紹介しています。
中・上級者編
次に、中・上級者におすすめの本を3冊ご紹介します。
初級編でSNSマーケティングについて大まかに把握したら、こちらの本に進むと良いでしょう。
SNSを運用するためのノウハウや具体的な事例が多く掲載されており、より実践的な内容や自社に応用できるヒントを得ることができます。
「すでに自社アカウントを運用しているが、フォロワー数が伸び悩んでいる」「もっと効果的なSNSマーケティングのテクニックを知りたい」という方にもおすすめです。
SNSマーケティング100の法則
すでに自社アカウントを開設・運営し、SNSマーケティングに取り組んでいるものの、その成果に満足していない方に向けて書かれた本です。
「人手不足・ネタ不足で投稿が滞りがち」「フォロワーが増えない」「フォロワーを獲得した後、どう発展させていけば良いか悩んでいる」など、企業のSNSアカウント運用にとっての課題を取り上げ、その解決策を紹介しています。
また、SNSマーケティングの基本的な仕組みや運用方法、マーケティング施策など、基本的な実務ノウハウも具体的に解説しています。
「今まで自己流でSNSアカウントを運用してきたけれど、改めてSNSマーケティングについて学び直したい」という方にもおすすめです。
SNSの世界は日々変化を続けていますが、その中でも行き先を見失わないための道しるべとなることを目指した本です。
自由すぎる公式SNS「中の人」が明かす 企業ファンのつくり方
本書は、大手企業のTwitterアカウントの中でも特に多くのフォロワーを獲得しているセガ、キングジム、タカラトミー、タニタ、東急ハンズ、井村屋のSNS運用担当者、通称「中の人」にインタビューを行っていることが特徴です。
各社の実践例から、自社や自社製品のファンを増やすための極意やヒントを得られるでしょう。
消費者の志向がモノ消費からコト・ヒト消費へと移行している中、「中の人」は消費者から企業ではなくヒトとして認識されており、企業と消費者の接点として重要であると本書は説いています。
また、著名なコミュニケーションディレクター・佐藤尚之氏と6社の「中の人」による座談会の様子も掲載されています。
SNS運営担当者に限らず、自社や自社製品のファンを増やしたいと考えている方におすすめの本です。
小さな会社でできる! 売上・集客が倍増するSNS活用術
中小企業に特化したSNS活用術を紹介している本です。
SNSマーケティングでは、大企業が莫大な経費をかけて作成した投稿と、中小企業の投稿が同じ土俵で戦うことになるため、中小企業こそSNSを活用した広報活動によって飛躍するチャンスがあると説いています。
SNSの投稿が炎上するリスク以上に、SNSによる情報発信を行わないリスクの方が大きいと、中小企業の背中を押す内容です。
著者の西良旺子氏は関西を中心に1000社の中小企業のSNS活用に取り組んだ実績を持ち、その実例にもとづいたノウハウも紹介しています。
「SNSを使って集客したい」「SNSを採用に利用したい」など、中小企業の悩みに寄り添った本になっています。
中小企業の広報担当者や個人事業主などにおすすめです。
媒体特化編
Instagram、LINE、TikTok、Twitterに特化した本をご紹介します。
すでにアカウントを開設しているSNS媒体がある場合や、各媒体の特色を掴んで自社に適した媒体を見つけた場合は、こちらを参考にすると良いでしょう。
媒体を限定している分、多くのSNSを網羅している解説書に比べて、より狭く深い情報を掲載しています。
「今あるアカウントをもっと使いこなしたい」「自社の強みを活かせる運用をしたい」という方におすすめの4冊です。
ゼロからわかるビジネスInstagram 結果につながるSNS時代のマーケティング戦略
SNSマーケティング専門のコンサルティング会社「ホットリンク」のマーケティング部リーダーで、Instagramを用いたSNSマーケティングを得意とする朝山高至氏が著した入門書です。
Instagramの特徴や使い方といった基本知識から、フォロワーを増やして売上を伸ばす具体的な方法、プラスアルファの施策まで、この1冊でInstagram運営担当者が知りたい情報を網羅しています。
写真の撮り方などの細かいテクニックも掲載されており、Instagramマーケティングを行うなら1度は目を通しておきたい1冊です。
「インスタ映えよりUGC(User Generated Contents、ユーザーが自分の意思で投稿したコンテンツのこと)が重要」など、一般的に認識されているInstagramマーケティングのイメージとは違った視点も提示されています。
LINEマーケティング&Lステップの教科書
本書ではビジネスでLINEを活用する方法を詳しく解説しています。
「すでにLINE公式アカウントを開設しているけれど、機能が多すぎて使いきれない」「集客や売上アップにつなげる方法が知りたい」という悩みや疑問を解決してくれる本です。
また、LINEの機能を使って接客や予約受付、問い合わせ対応を自動化する「Lステップ」についても解説しており、LINEマーケティングと合わせてビジネスを効率化・高収益化するための方法をこの1冊で学ぶことができます。
LINEマーケティングによって実績を伸ばした企業の実例も掲載されており、LINEをビジネスの味方につけるためのヒントを得られます。
LINE初心者から上級者まで、多くの方におすすめの一冊です。
TikTokで人を集める、モノを売る ; 世界一カンタンなSNSマーケティングの教科書
著者は自身のTikTokアカウントでフォロワーを10万人獲得した経験から、独自のTikTokアカウント運用ノウハウを作り上げた中野友加里氏です。
「TikTokは若者のもの」「流行りのダンスを踊っている動画ばかり」という先入観によってTikTokを敬遠する方に対して、TikTokはチャンスの海だと説きます。
低コストの動画でも爆発的に拡散される可能性を秘めているTikTokを利用することで、中小企業や個人店でも大きく売上を伸ばすチャンスがあるのです。
TikTokアカウントの運用ノウハウや集客・売上アップにつなげる方法、人の心を掴む術など、TikTokをビジネスに利用するための実践的内容が詰まった一冊です。
世界一やさしい Twitter集客・運用の教科書 1年生
中小企業や小規模店において、Twitter運用を外注せずに自前で行うメリットを説き、そのためのノウハウを紹介しているTwitterマーケティングの入門書です。
Twitterを使ったマーケティングを初めて行う方、すでにアカウントは開設しているけれど集客効果を感じられない方におすすめします。
Twitterアカウントを開設している事業者が抱える「何をつぶやいたら良いのかわからない」「運用していても反応がもらえない」といった悩みを解決するため、著者が持つ集客ノウハウを目で見てわかるようにまとめました。
写真加工の方法やツイート内容、Twitterの機能を使いこなす方法まで細かく解説しており、実用的な内容になっています。
各媒体に特化したノウハウを学ぶなら
SNSの各媒体に特化したノウハウを学びたい時、本ではなくSNSを活用するのもおすすめです。
各媒体にはマーケティングのノウハウを発信しているアカウントも多く存在しているため、そうしたアカウントをフォローして情報を得ることができます。
SNSを通じて情報を得ることによって、実際にアカウントを運用している人の考え方や運用方法を学べる、最新の情報を得られるというメリットがあります。
ただし、SNS上の情報は玉石混交であり、自分自身で有効な情報を取捨選択しなければなりません。
中・上級者向けの手段と言って良いでしょう。
また、SNS自体は無料で見られますが、登録が必要な場合や有料コンテンツに誘導される場合もあります。
まとめ
SNSマーケティングが学べる本の選び方と、おすすめの本12冊をご紹介しました。
本の選び方のポイントや各書籍の解説を参考に、自社のマーケティングに適した本を見つけてください。
また、SNSの世界は刻々と移り変わっていきますから、ここでご紹介した情報もどんどん古くなっていきます。
常に最新の情報を得るために、本は最新版を入手するようにし、SNSでも情報収集を行うなど、アップデートを欠かさないように心がけてください。