はじめに
インスタグラムをマーケティング・広報に用いる企業はどんどん増えつつあります。
写真などを用いてビジュアル中心に見せられることから、ビジネスと相性の良いSNSであることが認知されるようになってきました。
しかし、SNSでユーザーの興味を惹けるコンテンツを作るのは決して簡単なことではありません。
エンゲージメントを高めるのに苦労している担当者も多いです。
この記事では、インスタグラムのエンゲージメントを計測する・高める方法を紹介します。
インスタグラムのエンゲージメント率とは
マーケティングにおいて、「エンゲージメント」は企業の商品・サービス・ブランドが持つ消費者を惹きつける力を意味する言葉です。
インスタグラムでは、もう少し意味が狭くなります。
いいねを押された数・コメントをもらった数など、ユーザーのリアクションがインスタグラムでのエンゲージメントです。
ユーザーがそうした反応を返してくれるほど、価値の高いコンテンツであると言えます。
有名である・フォロワーが多いだけでは、インプレッションが高いと言い切れません。
エンゲージメント率を高める重要性
企業がエンゲージメント率を高めることには、どのような意味があるでしょうか。
紙媒体の広告やテレビCMなどは、相手が見た時点で役割が完結します。
しかし、インスタグラムなどSNSのコンテンツは、ユーザーがそのコンテンツにどんな反応を返すかが重要です。
「いいね」・保存・コメントなど、なんらかのリアクションを取ってもらえない場合広告が失敗したと言わざるを得ません。
以下の見出しで、企業がインスタグラムを運用するうえでエンゲージメントを高めなければならない理由を紹介します。
情報が認知されやすくなる
エンゲージメント率が高まりいいね・コメントなどが多くなると、検索サイトの検索結果やインスタグラムのおすすめに載りやすくなります。
当然それだけ多くのユーザーに見てもらうことができ、新たに見てもらったユーザーがさらにいいね・コメントをしてくれるでしょう。
必然的にシェア数も増えるので、情報が拡散しやすくなります。
インスタグラムはTwitterと違い、ある程度ユーザーのターゲッティングが可能なSNSです。
最初にコンテンツを見てもらえるメインユーザー層がどんな反応を示すかによって、拡散性はかなり変わってきます。
自社の商品・サービス・ブランドがどんな方に支持されているか、そのユーザー層はどんなコンテンツを魅力的と思うのかをしっかり把握しましょう。
今後の運用指標になる
エンゲージメントを意識してインスタグラムを運用することは、SNSに限らずマーケティング戦略全般にも良い影響を与えます。
それぞれの投稿にどれだけのエンゲージメント率があったかを調査すると、ユーザーがどんなコンテンツに惹かれるか明確になるでしょう。
その結果は、今後のコンテンツ作成計画や他の施策を考える指標となります。
反対に、あまり反応が良くなかったコンテンツからはなんらかの課題が見つかるはずです。
ビジュアル的な魅力がなかったり、きれい・かわいいと思ってもらえても何をアピールしたいのか伝わらなかったりした可能性があります。
コンテンツによってエンゲージメント率に差がある場合、傾向をしっかり分析して今後のマーケティングに活かしましょう。
インスタグラムのエンゲージメント計測方法
インスタグラムにおいて、エンゲージメント率を計測する方法は「エンゲージメント数÷インプレッション数」となります。
エンゲージメントには「いいね」「保存」「コメント」など複数の指標を使うことができるので、最も伸ばしたいものを選びましょう。
商材や業界によって、伸ばすべきポイントは変わります。
インプレッション数は、その投稿が閲覧された回数です。
つまり、見てもらったユーザーのうち、何名が「いいね」や「コメント」などをしてくれたがエンゲージメント率になります。
分母をインプレッション数にせず、フォロワー数とすることも可能です。
この場合、エンゲージメント率はやや低く算出されます。
複数の投稿でエンゲージメント率を比較する場合、分母を変えないようにしましょう。
目安はどのくらい?
インスタグラムでのエンゲージメント率を計測するなら、ぜひ目標を設定しておきたいです。
業界によって、エンゲージメント率のデータはかなり差があります。
芸能人に関する投稿が多くなるメディア関連の業界は、11.9%と非常に高い数値です。
次いで高いのは旅行業界4.0%で、飲食業界では2.9%となります。
一方、ファッション、美容コスメに関する投稿でエンゲージメント率を高めるのはかなり困難です。
美容コスメ業界では1.7%、ファッション業界で1.3%というデータがあります。
「とりあえずフォローしておこう」というユーザーが多い大企業など、フォロワーの多いアカウントもエンゲージメント率がどうしても低くなるでしょう。
1万人未満のフォロワーであるアカウントが3%前後、5万人以上のフォロワーがいるアカウントでは1%前後が一定の目安です。
インスタグラムでエンゲージメント率を高める方法
続いて、インスタグラムでエンゲージメント率を高める方法を紹介します。
エンゲージメント率を高めるとさまざまなメリットを享受でき、競合他社・商品・ブランドに差をつけやすくなるでしょう。
インスタグラムはもちろん、ほかの媒体を使ったマーケティングにもエンゲージメント率アップを目指す取り組みは活きてきます。
研究・計画の段階から、どんな方をメインターゲットにするか・どんな方向性でアピールするか考える必要があるためです。
ペルソナ設定をする
ペルソナとは、自社の商品・サービスを利用してくれる消費者像のことを指します。
同じ業界でも、よく利用してくれるユーザー・興味を持ってくれそうなユーザーはかなり異なるはずです。
女性ファッションブランド一つとっても、20代でガーリーなファッションが好きな方・30代で子どもと一緒に出かけるのに便利な服を探している方などさまざまなペルソナが考えられます。
ペルソナを設定する理由は、特定のターゲットに対してアプローチしやすくするためです。
設定する時は「20代の男性」「〇〇に興味のある方」などではなく、もっと細かく人物像を掘り下げる必要があります。
年齢・性別・趣味嗜好・消費に対する価値観などさまざまな方向からペルソナを作っていきましょう。
ハッシュタグを付与する
ハッシュタグを付与することで、よりユーザーの目につきやすくなります。
インスタグラムの投稿を見ると、多くの方が工夫してハッシュタグを付けていることがわかるでしょう。
最近はハッシュタグを付けた状態で検索をかける方も多いので、重要なワードにハッシュタグを付与する意味は大きいです。
ただし、ペルソナで設定したターゲットに関係ないハッシュタグを付与するのは控えてください。
何が一番伝えたいメッセージだったのか、わからなくなってしまいます。
とにかく多くの方に検索で拾ってもらおうと、たくさんのハッシュタグを付けている投稿も見かけます。
しかし、なんでも付ければ良いというわけではなく、事前に設定したペルソナを大事にすることを忘れないようにしましょう。
定期的な配信を行う
どんなSNSでも、定期的に配信しなければユーザーに離れられてしまうリスクが高まります。
キャンペーンなどを実施していない時期も、できるだけコンスタントに配信することが大切です。
直接的な宣伝を打たなくても、「お客様から感謝の手紙をいただきました」「有名人の〇〇さんに商品を使っていただいています」などユーザーの興味を惹ける投稿はできます。
ただし、あまりにも投稿が頻繁だとフォロワーの方にとって迷惑に感じられたり、一つひとつの投稿が重要だと思ってもらえなくなったりする可能性が高いです。
せっかくインスタグラムのビジネスアカウントではインサイト機能が用意されているので、効果的なタイミングや頻度を見計らって適切な投稿をしましょう。
話題性のある施策を行う
インスタグラムでエンゲージメント率を高める方法の一つが、話題性のある施策を実施することです。
具体的には、キャンペーンの実施・インフルエンサーを利用したマーケティングなどが挙げられます。
大企業でなくても、フォロワーに拡散してもらえるコンテンツを準備するのは決して不可能ではありません。
工夫次第で、フォロー外の方に興味を持ってもらえるチャンスも広がります。
投稿ごとに分析を欠かさず、より一層高いエンゲージメント率を目指しましょう。
キャンペーンの実施
インスタグラムで話題作りをする方法の一つが、ユーザーにアカウントをフォローしてもらう・自社の商品やサービスに関係あるハッシュタグを付けた投稿をしてもらうキャンペーンで情報を拡散させることです。
このキャンペーンをすると、キャンペーンに参加してくれたフォロワーが投稿してくれた内容をさらにそのユーザーのフォロワーが閲覧できます。
投稿の手軽さ・拡散性の高さではTwitterに及ばないインスタグラムですが、キャンペーンが話題になれば十分な効果が見込めるでしょう。
もちろん、キャンペーンに参加してくれた方に感謝の意を示す・何らかの特典を用意するといったことも検討する必要があります。
まずは低予算で実施できるキャンペーンから実施し、効果測定をしてみてください。
インフルエンサーの活用
インスタグラムでは、多くのユーザーが自分の好きな有名人・インフルエンサーのアカウントをフォローしています。
その方の投稿を見るのが楽しみで、インスタグラムにログインする習慣ができている方も多いです。
そのため、インフルエンサーの方に商品やサービスを紹介してもらう・なんらかの形で「コラボ」するのは非常に効果があります。
当然、インフルエンサーのジャンルと自社の商品・サービスがマッチしているとさらに効果的です。
たとえば、美容系商品ならモデル・カリスマ主婦・美容系ブロガーなどが候補となるでしょう。
ただし、現在は「ステマ」(ステルスマーケティング)という言葉が多くの方に知られるようになったので、投稿がステマと思われないよう注意する必要があります。
継続的な分析を行う
どのような方向性でインスタグラムを活用するにせよ、最も大切なことは投稿・キャンペーン実施後の分析作業です。
エンゲージメント率を算出することも大切ですが、広告のCTRやCVRを確認する・競合他社との比較分析を行うといったことも忘れないようにしましょう。
SNSはどうしても投稿してみるまで反応が読めないツールなので、最初のうちはあまり反応が良くないことがあります。
有名な大企業でも、インスタグラムを十分に活用できていないことが珍しくありません。
一方、中小企業や個人でビジネスをしている方にとって大きなチャンスが転がっている媒体と言えます。
予算が少ない方・まだ知名度の低い企業の方こそ、分析や研究を大切にインスタグラムのマーケティングをしていきましょう。
まとめ
インスタグラムのエンゲージメント率を高めるのは簡単ではありませんが、その効果は非常に大きいです。
投稿ごとにしっかり分析を実施し、結果が良くなかった時こそ原因を探りましょう。
ビジュアル重視というインスタグラムの特性上、投稿ごとの見栄えが良いだけでなくアカウントを総合的に見て見栄えする・統一感があることも求められます。
特に自社の商品・サービス・ブランドを知らない方に興味を持ってもらうのに第一印象はとても大事なので、まずは「見せ方」を工夫してください。