はじめに
新規事業を立ち上げることは、変化がより激しくなるこれからの時代、長い目で見ればリスクヘッジになりうる可能性があります。 また、その過程で社員のスキルアップを図ることも可能です。 しかし、何も考えず、ただ立ち上げるだけではうまくいきません。 新規事業立ち上げに際し、重要なポイントは多くあります。 そこでこの記事では、市場の選び方や認知されるために必要なアプローチ方法など、押さえるべきポイントを詳しく解説していきます。 これから立ち上げを考えているという方は、ぜひ参考にしてみてください。
新規事業立ち上げる際に起こりうる問題
新規事業の参入は、決して容易ではありません。 ここでは、新規事業立ち上げに際し、起こりうる問題について解説します。
参入障壁
既存の市場には、すでにシェアを占めている企業が存在するので、大きく売上を立てることはなかなか期待できません。 スモールビジネスとしてやっていくのであれば問題ありませんが、その中でシェアを獲得したいのであれば、それ相応の戦略が必要になってきます。 一方、これまでにない市場を開拓するビジネスの場合は、市場を認知してもらうところからはじめなければなりません。 立ち上げ後に購入を促すまでが大変ですが、未知の可能性があるビジネスとも言えます。
認知度向上
新規事業を立ち上げたら、まずは社会にそのサービスがあることを認知してもらうことが大切です。 当然ながら、認知されていないと、サービスを必要とされる機会すらありません。 あとにもご紹介しますが、SNSなどを活用して広告活動を行いましょう。 また、既存事業で取引しているクライアントがなぜ自社と取引してくれているのか、その理由を探ってみると大きなヒントが隠されている場合もあります。 今、既存事業で持っているリソースをうまく活用すれば、思わぬ相乗効果を生む可能性もありますので、ぜひ検討してみてください。
イメージ向上
認知を広めたとしても、そのサービスに良いイメージがないと、導入・購入までには至りません。 良いイメージを広めるためには、サービスに一貫した軸が必要です。 たとえば「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の頭文字をとった MVVというフレームワークを活用してみましょう。 「ミッション」はその事業をする意義、「ビジョン」はその事業で成し遂げたい目標、「バリュー」は具体的に何をするのかの行動指針を指します。 この3つを明確にし、顧客の心をつかむことができれば、おのずとイメージ向上につながっていきます。
品質の担保
顧客がサービスを導入・購入したあと、また利用したいと思うには、品質の担保が重要になります。 新規事業のサービスの品質は、顧客にとってもっとも不安な点の1つです。 価格が抑えられていて、品質がいいものであることに越したことはありません。 ただし、どんな顧客を想定しているかによって、求められる品質は異なってきます。 少し問題があっても、安ければそれで十分と捉える顧客もいますし、新サービスを使ってみたいということが一番の価値である顧客もいます。
ブランディングが重要
事業をはじめていくにあたり、ブランディングを確立していくことはとても重要です。 とくにブランディングの中でも重要な、認知度の向上・イメージアップについて解説します。
認知度向上のための施策事例
ここでは、認知度向上のために、具体的にどのような施策をとればいいのかを解説します。 代表的なものを3つ挙げていますので、参考にしてみてください。
広告運用
広告をうまく運用し、認知度の向上を図りましょう。 たとえば、オンライン広告の1つであるリスティング広告は、有料SEOとも言われています。 費用をかけて、Web上で上位表示されることにより、認知度向上を目指す方法です。 そのほかにも、ディスプレイ広告・リターゲティング広告・タイアップ広告・アフィリエイト広告など、さまざまな方法があります。 一方、オフライン広告であれば、テレビ・ラジオ・新聞などのマスメディア広告、ダイレクトメールやDMの送付・イベントへの出展・フリーペーパーなどのセールスプロモーション広告があります。 どのような広告を行うかは、サービス・プロダクトの属性に合わせることが重要です。
トライアル期間を設ける
新規事業はすぐに結果を求めるのではなく、少しずつ導入・購入を促しましょう。 企業向けの to Bサービスは、トライアル期間を設けて障壁を下げ、導入しやすく設定します。 個人向けの to Cサービスであれば、モニター・アンバサダーを募集し、実際に使用した感想や意見をもらいましょう。 それらをもとに、広く販売促進につなげてください。 トライアル期間を設けるには多くのリソースが必要になりますが、とても重要な過程の1つとなります。
SNSアカウント運用
広告活動として、よく用いられる方法です。 内容は、どんな投稿をすれば、ユーザーにとって有益な情報になるかという視点で考えることが重要です。 ターゲットの属性や商材に合わせて、Facebook・Instagram・Twitterなど、どのSNSを利用するかを慎重に検討しましょう。 そして、フォローやリツイートをしたり、モニターとして感想を投稿したりすると、プレゼントがもらえるなどのキャンペーンを開催します。 投稿がバズればメディアに取り上げられ、認知度が高まる可能性もあります。
イメージ向上
企業はもちろん、商品やサービスのイメージ向上が必須です。 ここでは、イメージ向上につながるポイントを3つご紹介します。
コンセプトやキャッチコピー
イメージ戦略をつくる際に重要なのは、印象深いコンセプトやキャッチコピー、ブランドカラーを設けることです。 万人受けを目指すよりも、ターゲットとする顧客を明確にしましょう。 対象を明確にすることで、具体的なコンセプトが定まります。 顧客にとってどのようなメリットがあるかがはっきりすると、魅力的なコンセプトになります。 そして、コンセプトが決まれば、キャッチコピーを決めましょう。 さまざまな企業のものを参考に、ぜひ一度聞いたら忘れないキャッチーなものを選定してください。
ストーリー
サービスの立ち上げに至った経緯から、顧客がサービスを導入・購入してどのようになってほしいと願うのかまで、ストーリーを明確にわかりやすく顧客へ伝えましょう。 ストーリーが明確で人の心を動かすものであれば、応援したいと思えます。 それが顧客であればサービスが売れていきますし、金融機関や投資家であれば、資金調達につながる可能性が高くなります。 また、ストーリーを明確にすると、設定した売上目標がなぜその金額なのかという根拠まで示せます。
インナーコミュニケーション
生産性を高めるべく、組織力に直結するインナーコミュニケーションを充実させることも大切です。 そのサービスを導入・購入するか否かの最後の決め手となるのは、やはり「人」です。 どのような接客をされたかが、顧客にとっての企業・サービスのイメージに直結するので、従業員教育や社内でのコミュニケーションを充実させましょう。 また、不安なく働ける職場環境をつくったり、仕事に対して高いモチベーションを維持できるよう、雑談・食事をする機会を設けてみたりするのもおすすめです。
成功する新規事業とは
成功する新規事業には、成功する理由があります。 ここでは、とくに重要なポイント3つをご紹介しますので、参考にしてみてください。
コンセプトが重要、次にプロダクト
新規事業に限らずですが、しっかりとした軸のあるコンセプトを持つことが重要です。 ターゲットとする顧客は誰なのかや、その事業が顧客にとってどのようなメリットがあるのかを明確化しましょう。 そのようにすれば、おのずとプロダクトの内容・品質もはっきりとします。 また、意思決定が必要な場面でも判断基準となり、ブレがありません。 社内での共通認識なので、コミュニケーションも円滑に進みます。 ゆえに、ブレのないコンセプトを持つことは、新規事業を成功させるために必須と言えます。
高い参入障壁
参入障壁が高ければ高いほど、新規事業の参入は少なくなります。 一方、参入障壁を乗り越えることさえできれば、市場のシェアを獲得できる可能性が高いとも言えます。 乗り越える方法を見つけることは容易ではありませんが、情報収集を行いながら方法を見つけてみましょう。 ただし、あまりにも時間がかかってしまうと、競合他社が先を行ってしまいます。 市場に参画するか悩む場合は、市場調査をしてくれる企業がありますので、相談してみるのもおすすめです。
ストック型のビジネスモデル
長期的に見て、安定的なビジネスモデルを確立することが、新規事業の成功には欠かせません。 よって、ビジネスモデルはショット型ではなく、ストック型のものを導入しましょう。 それぞれの特徴を一言で表すと、ショット型は「その場限りの売り切り」ストック型は「定額・従量課金制 」です。 ストック型は仕組みさえ確立してしまえば、継続的に売上が立つビジネスモデルと言えます。 リスクヘッジのために新規事業を導入する場合には、こちらを選びましょう。
まとめ
今回は、立ち上げた新規事業を軌道に乗せるための方法について、ご紹介しました。 実践する道のりは決して簡単なものではありませんが、ビジネスモデルを確立してしまえば、安定的な収益を上げる心強い事業となります。 また、その事業が社会で役に立ち、必要とされるものであれば、このうえない喜びです。 それが従業員のモチベーションアップ・維持にもつながり、また別のいいサービスが生まれるという好循環を生み出します。 この記事を参考に、新規事業の立ち上げをぜひ前向きに検討してみてください。