はじめに
企業にとって、自社の提供するサービスやモノを利用する顧客数の拡大は、重要な命題です。 顧客数を拡大し、事業の基盤を築くことで、勝てる企業を目指せます。 今回は、顧客数の拡大に効果的な市場調査やマーケティング戦略を解説します。
顧客数拡大の重要性
顧客数の拡大は、企業の売上拡大のために必要不可欠な要素です。 売上が拡大することで、企業や事業の基盤が築かれ、持続可能なビジネスを展開できます。 そもそも売上拡大の要素として、顧客数拡大と顧客単価向上の大きく2点が挙げられます。 どちらも重要ですが、顧客が離脱してしまえば、顧客単価向上に取り組むこともできません。 どのような事業においても、いかに顧客数を増やすかは重要です。 企業や事業の基盤を築くため、顧客数の拡大は重要指標として扱いましょう。
ターゲット市場の分析
顧客数を拡大させるには、事業を展開するターゲット市場を分析することが重要です。 ターゲット市場を分析し、ニーズや消費行動を把握することで、その後のマーケティング施策に大いに役立ちます。 ターゲット市場の分析に役立つ手法を押さえ、ターゲットを明確にしていきましょう。
顧客のニーズと行動の分析
まず、顧客がどんなサービスやモノを求めているかなど、特徴を明確するための分析をしましょう。 顧客の消費行動も分析すべきデータの1つで、いつ・なぜ・どこで・どのように商品を購入するかといった一連の思考や行動の流れを表します。 顧客の特徴を明らかにするため、ニーズや消費行動を分析することが大切です。
データ分析の重要性
顧客のニーズや消費行動を分析するには、データの活用が重要です。 頭の中でターゲットを想像し、ニーズや行動を予測することも大切ですが、それでは主観的になりすぎることが多々あります。 それでは正しく顧客を捉えられているとは言い切れないため、より客観的な分析が必要です。 アンケートや自社の売上データなど分析し、客観的に顧客のニーズや行動を捉えていきましょう。 データ分析でターゲット市場が見えてくると、その後のマーケティング施策に役立ちます。
顧客のフィードバックの収集
分析するデータとして重要なのが、顧客フィードバックです。 顧客フィードバックとは、自社が提供するモノやサービスに対する顧客の感想や意見を指します。 顧客からのリアルな声は、その後のマーケティング施策にも重要な要素となります。 顧客フィードバックの収集方法で、メジャーな手段がアンケートです。 多くの顧客からのフィードバックを集める際に向いています。 また、より顧客の声を深掘りするためには、対面やオンラインでのインタビューも有効です。
ターゲット市場の特徴の把握
顧客のニーズや行動を分析した後は、事業や施策に落とし込むため、自社のターゲット市場の特徴をより具体化していきましょう。 ターゲットの特徴は、どのようなマーケティング施策を行うのかの重要な判断材料となります。
年齢、性別、職業などのデモグラフィック情報の分析
ターゲット市場の特徴を把握するには、顧客のデモグラフィック情報の分析が欠かせません。 デモグラフィック情報とは、年齢・性別・職業といった社会的な属性を指します。 ターゲットの属性は、自社の顧客を具体化する際に大いに役立つ情報です。 デモグラフィック情報は、顧客フィードバックや自社の売上データなどから集められます。 デモグラフィック情報を活用し、ターゲット市場にどのような属性の人たちが多いのかを把握しましょう。
ターゲット市場の消費行動の分析
ターゲットの属性に加え、消費行動の分析も重要です。 消費行動とは、いつ・なぜ・どこで・どのように商品を購入するかといった顧客の一連の思考や行動の流れです。 デモグラフィック情報がより外面的な情報である一方、消費行動はより内面的な情報であるといえます。 デモグラフィック情報と消費行動の両者を分析することで、ターゲット市場をより具体的に把握できます。 ターゲット市場を分析し、その後のマーケティング施策に活かしていきましょう。
マーケティング戦略の策定
ターゲット市場の特徴を把握できたら、顧客に対してどのように商品を提案していくのか、マーケティング戦略を策定しましょう。 マーケティング戦略は、自社のサービスやモノありきではなく、徹底的に顧客目線で考えることが大切です。
プロモーション戦略
まずは、プロモーション戦略を検討していきましょう。 プロモーション戦略は、広告や広報、販売促進のための戦略です。 プロモーション戦略を通じて、いかに顧客に自社や商品を認知してもらうか、興味を持ってもらうかが重要となります。
広告媒体の選定
プロモーション戦略を検討する際は、どういった広告媒体を活用するかが重要です。 広告媒体は、テレビや雑誌、SNS、看板広告などさまざまな種類があり、かかる費用や閲覧する利用者の属性も異なります。 そのため、プロモーション戦略の予算も考慮しながら検討を進めましょう。 そして一番重要なことは、顧客に合った広告媒体を選定することです。 自社の顧客に訴求するにはどの広告媒体が最も効果的か、しっかりと検討しましょう。
キャンペーンやイベントの企画と実施
広告媒体を介した宣伝だけではなく、キャンペーンやイベントについても、顧客の認知や興味・関心を高めるために有効な手段です。 近年はSNSでのキャンペーンも多く「この商品について投稿したら抽選で〇名に〇〇をプレゼント」など目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。 SNSやアンケート、口コミなどオンラインを活用したキャンペーンは、企業にとってもはじめやすい特徴があります。 また、オフラインでの対面のイベントは、より密に顧客とコミュニケーションをとれる強みがあります。
販売戦略
プロモーション戦略に対し、販売戦略では商品自体の価値をいかに高めていくか、いかに商品を手に取ってもらうかを検討します。 いくらプロモーションをしても、顧客の最終的な購入につながらないと意味がないため、販売戦略も非常に重要な要素です。
販売チャネルの拡大
販売チャネルとは、自社の商品を流通・販売するための経路や方法を指します。 つまり、販売チャネルの拡大は、顧客が商品を購入できる場を増やすことを意味し、顧客数を増やすことにもつながるのです。 販売チャネルとしては、自社店舗での販売や委託販売に加え、ECサイトやSNSなどが挙げられます。 近年は、ECサイトなど、オンラインの販売チャネルで売上が伸びている企業も多くあります。 顧客の購買につながるような販売チャネルを拡大し、顧客を獲得していきましょう。
販売促進施策の実施
ターゲットの購買を促すこと(販売促進)も、重要なマーケティング施策です。 販売チャネルをいくら拡大しても、売り場で実際に商品が売れなくては意味がありません。 自社に興味を持ってくれた顧客の背中を押すような、施策を実施しましょう。 具体的には、割引やポイント還元でお得感を打ち出す施策、特典を付けて限定感をアピールする施策などがあります。 顧客目線で、商品を購入したくなるツボを押せるような施策を検討していきましょう。
価格戦略
売上を伸ばし、顧客数を拡大するためには、商品の価格をどのように設定するかも重要な要素です。 ただ単に安ければ良いわけではないので、自社の利益を考慮しつつ、市場やターゲットを分析し、適切な価格戦略を策定しましょう。
競合環境の分析
価格を検討するにあたっては、競合他社がどのような商品をいくらで販売しているかを分析しましょう。 競合他社とは、自社と似た商品を展開している企業や、自社と似たターゲットを設定している企業です。 なぜ競合環境の分析が必要かというと、ターゲットは自社の商品購入を検討する際、競合他社の商品と比較をする可能性が高いからです。 しかし、競合他社よりも価格を下げれば良いわけではありません。 競合他社と比較した際の自社の強みや弱みなどを分析し、適した価格設定を検討することが大切です。
販売価格の設定
競合環境の分析をしたら、実際に販売価格を設定します。 競合環境の分析結果や予算などを踏まえ、どの程度の価格にすれば良いのかを検討していきましょう。 価格検討の際は、ただ単に安く抑えようとするのではなく、顧客の視点に立って検討することが大切です。 「安い金額でまずは試したい」「ちょっと贅沢して良い商品を買いたい」など顧客の思考や心理に寄り添い、どういったニーズに応えたいかといった視点で検討していきましょう。
マーケティング施策の実施
データ分析に基づき、マーケティング戦略を策定したら、実際に施策を行っていきます。 マーケティング施策は、商品を購入してもらうことがゴールではありません。 再購入につなげたり、口コミで商品を広めてもらったりと、持続的な消費行動を促すことが大切です。
広告宣伝の実施
プロモーション戦略の中でも、認知を広めるために重要なのが広告宣伝です。 より多くの顧客に刺さる広告媒体やキャンペーンを実施しましょう。 広告宣伝では、顧客に自社を知ってもらい、興味を持ってもらうことが重要です。
オンライン広告の活用
インターネットを利用する世代に向けては、オンライン広告が有効です。 オンライン広告には、リスティング広告(検索結果上に掲載される広告)やディスプレイ広告(ブログやアプリにバナーや動画などを掲載できる広告)などがあります。 オンライン広告の強みは、より細かなターゲティングができる点です。 たとえば、検索広告であれば「〇〇というキーワードを検索した人に広告を表示させる」といった設定が可能です。 より多くの顧客の目に留まるような媒体やターゲティング設定で、広告の効果を高めていきましょう。
SNSやブログなどのコンテンツマーケティング
近年は、SNSやブログでのコンテンツマーケティングを取り入れる企業も増えています。 コンテンツマーケティングとは、ターゲットに響くようなコンテンツを発信することで、興味を持つターゲットを惹きつけ、商品の購入につなげる手法です。 自社のSNS媒体であれば広告出稿費が不要で、はじめやすい特徴もあります。 顧客が興味を持つであろうキーワードやトピックについて発信し、自社や商品の詳細に誘導できるような設計を考えてみましょう。
キャンペーンやイベントの実施
プロモーション戦略に基づいたキャンペーンやイベントの実施は、認知や興味関心を高めるために有効な手段です。 オフラインのイベントやプレゼント企画など活用しながら、顧客へ効果的にアプローチしていきましょう。
イベントやセミナーの開催
イベントやセミナーは、より濃くターゲットと接点を持つことのできる機会です。 会場を借りてオフラインで開催する場合は、ターゲットと直接対面して商品や自社について訴求できます。 また、イベントやセミナーでのアンケートは、ターゲット市場の特徴の把握にもつながるため、活用しましょう。 イベントやセミナーというと大規模な印象を受けますが、近年はオンラインでのイベントも増えています。 イベントやセミナーの目的やターゲットの参加しやすさなどを考慮し、どのような形態での開催がベストか検討していきましょう。
プレゼントやクーポン券の配布
プレゼントやクーポン券の配布は、ターゲットの購買を促すことにつながる重要なマーケティング施策です。 広告宣伝と合わせて実施することで、広告への注目を集めたり、購買への意欲を高めたりもできます。 近年はSNSでのキャンペーンも多く「この商品について投稿したら抽選で〇名に〇〇をプレゼント」など、目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。 オンラインを活用したプレゼント企画やキャンペーンは、はじめやすい傾向にありますよ。
販売促進施策の実施
ターゲットの購買を促す販売促進施策も、重要なマーケティング施策です。 多くの企業が限定感やお得感を打ち出す販売促進施策を実施しています。 自社に興味を持ってくれた顧客が「購入しよう」と行動に移せるような施策を実施しましょう。
特典付きセット販売の実施
商品そのものだけで販売するのではなく、インセンティブとして特典を付ける施策はメジャーです。 顧客がお得感や魅力を感じる特典を付けることで、購入につながる確率を高めていきましょう。 特典は、非売品や期間限定商品などの限定的なものがあると、より魅力が高まる傾向にあります。 ただ単に「特典によって量が増えるからお得」ではなく、ターゲットが喜んで買いたくなるような特典は何かという視点で、検討すると良いでしょう。
ポイント還元制度の導入
ポイント還元制度は、購入時にポイントを還元し、お得感を打ち出す施策です。 購入代金の〇%分のポイントを付与など、通常時よりも高い還元率でポイントを付与するのが特徴です。 ポイント還元の方法としては、自社のポイントカードを作り、次回使えるポイントを付与するのが良いでしょう。 ポイントカードを作り、お得にポイントを還元することで、次も購入したいと思ってもらえる可能性が高まります。 新規顧客の獲得だけではなく、継続的に利用してもらう仕組み作りを目指しましょう。
まとめ
企業にとって、自社の提供するサービスやモノを利用する顧客数を拡大し、企業や事業の基盤を築いていくことは重要な命題です。 そして、顧客数を拡大させるために、市場調査やマーケティング施策を戦略的に行っていく必要があります。 顧客の認知や興味関心の拡大から、購買、リピートにつなげるため、各段階で効果的な施策を実施していきましょう。 今回の記事を参考に「勝てる企業」になるための経営戦略を実践してみてくださいね。