ビジネス成長に向けたマーケティング戦略の策定から改善までの一連の流れ

ビジネス成長に向けたマーケティング戦略の策定から改善までの一連の流れ

記事をお気に入り登録する

記事のお気に入りに登録

「記事のお気に入りに登録」のご利用にはログインが必要です。

会員登録がお済みでない方

無料会員登録

はじめに

ビジネスを成長させるうえで、マーケティングは顧客のニーズを理解したり、自社の課題を把握したりするのに欠かせない活動です。 自社がどのような強みを持っているか・どのような価値を提供できるかを知ることも、大切なマーケティングの意義といえます。 今回は、マーケティング戦略の策定から改善まで一連の流れについて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

マーケティング戦略の策定

マーケティング戦略を策定するときは、さまざまな要素に目を向ける必要があります。 以下の見出しで紹介するのは、多くの企業がマーケティングにおいて重視しているポイントです。 マーケティングの目標を見失わないよう、しっかり目標を見据えましょう。

ビジネスの現状分析

まずは、自社のビジネスの現在地を確認しておく必要があります。 マーケティングは、ビジネスが壁に当たったときにだけ実施するものではなく、好調時も今後予想される逆風・ライバル他社の台頭などに備えるために実施すべきものです。

競合環境の分析

マーケティングは市場調査を行うことになるため、必然的に競合他社など業界全体の動向を知ることになるでしょう。 その前に、現在競合他社がどのような状況にあるか知っておくことは重要です。 直接の競合他社でなくても、ニーズが同じで顧客の奪い合いになっている他業界の企業が存在しているケースもあります。 また、景気動向や社会情勢・法律改正などの影響を強く受ける企業の場合、ビジネスシーン以外の外的要素にも気を配る必要があるでしょう。

自社製品やサービスの特徴の把握

マーケティングをするうえで、自社製品やサービスの特徴をしっかり把握しておくことは、非常に重要です。 他社と違う部分がどこにあって、それを顧客がどの程度魅力的に感じてくれているか、客観的な目で評価しなければなりません。 もちろんマーケティングをした結果、自分たちが今まで目を向けてこなかった特徴が浮かび上がってくることもあります。 消費者が思わぬ部分を評価してくれた結果、開発側の意図とは異なる形でヒットすることも決して珍しいことではありません。

ターゲット層の把握

マーケティングの代表的な手法は、購買行動の分析やアンケートなどで顧客や潜在顧客について調べることです。 そのため、商材のターゲット層がどのような人物像かを把握しておく必要があります。 マーケティングの結果、ターゲット層を広げたり、絞ったりしたほうが良いという結論が得られることもあるでしょう。

ターゲット層の特徴の分析

まずは、ターゲット層の特徴をしっかり分析しましょう。 性別・年代・職業といった基本的な属性以外にも、チェックしておくべき要素はたくさんあります。 たとえば、ファッション業界などでは、あるブランドを支持している方は趣味や好きな有名人・ライフスタイルなどに、共通点がある可能性が高いでしょう。 自分たちの企業・ブランドを応援してくれるのはどういう人たちか把握し、その人たちの共感を得られるようにプロモーションを打てるようにすることが大切です。

ターゲット層への訴求ポイントの設計

ターゲット層の特徴が把握できた後は、次はその人たちにどのような訴求ポイントをアピールすれば良いかを考えることになります。 たとえば「手軽に○○できる」ということは、一般的にプラスに捉えられる言葉ですが、ターゲット層によってそれがどこまで魅力的に映るかは差が出るでしょう。 自由時間に余裕がある学生やリタイア後の高齢者より、子育てに忙しい主婦などのほうが「手軽」「時短」といったキーワードに敏感に反応してくれる可能性が高いです。

マーケティング施策の設計

ターゲット層とターゲット層にアピールしたいポイントを決めた後は、マーケティング施策の設計をすることになります。 マーケティングをする際には、どうしても予算と相談しなければならないでしょう。 費用対効果を最大にするため、施策方法や実施場所などを入念に計画する必要があります。

商品やサービスの価値提供の設計

まずは、商品やサービスにどのような価値があるとアピールするか、あるいはどのように価値をつけるかを考えましょう。 商品自体だけだとアピールが弱いと考える場合は、キャンペーンなどで付加価値を付けることも可能です。 価値をつけることは、企業にとってもブランディングなどに意味のある活動ですが、消費者にとっても大きなメリットがあります。 商品やサービスを通して、企業と顧客が長く良い関係を築くために、双方にとって魅力的な価値の創造は欠かせません。

広告戦略の策定

商品やサービスでアピールすべき価値を設定した後は、広告戦略を策定する段階になります。 広告は商品の購入に結び付けるだけでなく、認知度を高める意味もあり「まずは商品やサービスを知ってもらう・名前を覚えてもらう」という戦略をとることも可能です。 オンライン広告で商品やサービスを知ってもらい、オフラインの活動で購入促進といった、オンライン・オフライン連動型の戦略も選択肢の1つになるでしょう。 費用対効果を最大にするには、幅広い方に広告を見せるか、ターゲットを狭く絞って見せるかも重要です。

プロモーションの実施計画

広告に加えて、イベントなどのプロモーションを実施する場合も、ターゲット層に合わせてじっくり計画を練る必要があります。 まずは参加者を集めなければ話になりませんが、プロモーションの実施時期や場所を誤れば、イベント自体の満足度が高くても購入・契約につながらない可能性もあるでしょう。 オンラインのプロモーションは移動などの必要がなく、消費者側にとっては比較的参加のハードルが低いものです。 しかし気軽に参加できる分、参加者が「とりあえず見てみよう」といった気持ちであることも多く、そういった方をどれだけ本格的に取り込めるかが勝負といえます。

販売促進戦略の設計

広告やプロモーションの戦略を立てた後は、その広告やプロモーションで商品・サービスに興味を示した方を、どのように購入行動へ誘導するかを設計しなければいけません。 購入・契約までに不安を感じることが多い場合、スタッフのサポートが欠かせないでしょう。 たとえば、初期費用がかかる高額な商品・サービスの場合、アフターサポート体制がしっかりしていることをいかに納得してもらうかが、契約する・しないを分けることが多いです。 逆に手軽に購入できる価格帯の商品では、決済方法が煩わしいと敬遠される可能性があり、複数の決済方法を用意することで売上が大きく変わってくることもあります。

マーケティング施策の実施

続いて、具体的にマーケティング施策を実施する際に、どのような点に気を配るべきかを解説します。 マーケティングの効果が当初想定していたほど上がってこない場合、思い切って戦略を切り替えることも選択肢になりうるでしょう。

広告戦略の実施

マーケティングの初期段階では、立案した広告戦略を計画通りに実施していくことが大切です。 適切な媒体に適切な内容の広告を出稿しなければ、いくら良い商品・サービスを開発しても、なかなか売上が伸びません。 ターゲット層のライフスタイルとマッチする媒体を選びましょう。

メディア戦略の立案

広告でメディアを活用する場合も、どのメディアに広告を出すかよく検討しなければなりません。 新聞などの場合、プレスリリースを活用したほうが広告よりも大きな宣伝効果を上げられるケースもあります。 近年は、オウンドメディアを活用して、動画などの情報を提供する企業が多くなりました。 自社のファンやターゲット層に集中して情報を届けられるだけでなく、オウンドメディアを持っていること自体が、一種のブランディングになるというメリットもあります。

クリエイティブの制作

動画やアプリなど、クリエイティブの制作は企業のこだわりが強く反映される部分です。 内容やクオリティに凝ると相当な費用や時間がかかりますが、バズらせることができれば、文章やイラストだけのホームページよりもずっと高い宣伝効果を得られるのが魅力でしょう。 現在では、AIを活用して、クリエイティブの制作を行えるようになりました。 まだAIにすべての仕事を任せることはできませんが、今後さらにAIができるようになることの範囲が増える可能性は高いです。

プロモーションの実施

プロモーションを実施する場合、オフライン・オンラインで実施方法が大きく異なることがあります。 商材やターゲット層によって、どちらを重視するか考えるようにしてください。 実際に商品を手に取ったり、対面で相談を受けたりすることが重要で、ネットが隆盛している現在でも、オフラインのほうが効果的な商材もまだまだ多いです。

オフラインでのプロモーション方法

オフラインでのプロモーション方法としては、ダイレクトメールやノベルティの配布・看板の設置・イベントやセミナーの開催などがあります。 とくにイベントやセミナーは、営業やマーケティング担当者が直接消費者の意見を聞けるチャンスです。 消費者の生の反応を見て、次のマーケティングや商品開発に活かすこともできます。 イベント・セミナー自体で、直接購入者・契約者が増える可能性が低くても、顧客とコミュニケーションを図るために参加することもできるでしょう。

オンラインでのプロモーション方法

オンラインでのプロモーションも、動画配信・SNS上でのキャンペーン・オウンドメディアの立ち上げ・アプリのリリースなど、さまざまな方法が考えられます。 多くの企業が当たり前のようにSNSを活用するようになってきましたが、徐々にSNSマーケティングには限界があることも分かってきました。 メインターゲット層により強く訴求するには、オウンドメディアやWeb広告も併用していくことが求められます。 商材によっては、オフラインに近い形でオンラインセミナーを実施するのも手でしょう。

販売促進戦略の実施

商品やサービスに価値をつけたり高めたりするための、販売促進戦略の方法についても簡単に紹介します。 販売促進戦略の多くは、消費者に還元する代わりに、企業の利益を減らす内容になるでしょう。 どの程度実施するか、損益分岐点を上手に見極める必要があります。

クーポンやキャンペーンの実施

クーポンを配布したり、お得なキャンペーンを実施したりするのは、最も基本的な販売促進戦略の1つでしょう。 しかし、あまりにキャンペーンの頻度が高いと、消費者がお得なときにしか商品を購入しなくなってしまうリスクも秘めています。 またECサイトの通販などでは、常時何らかのキャンペーンを実施していることが珍しくありません。 キャンペーンを打つだけでは消費者に大きなインパクトを与えられない場合、キャンペーンの内容で他社と差をつける工夫が必要になってきます。

ポイントプログラムの導入

ポイントプログラムは消費者がお得に買い物ができるシステムですが、ポイントカードのデータを活用したマーケティングができるようになるため、企業側にもメリットがあります。 しかし、導入するためには初期費用・メンテナンス費用がかかり、個人情報管理などシステム管理のための業務も必要になってきます。 業務やシステム開発などをアウトソーシングすることもできますが、ポイントプログラムのメリットが少ないビジネスモデルでは、費用や労力に見合うだけの効果が得られない可能性もあるでしょう。

マーケティング施策の効果測定

どのようなマーケティング戦略をとるにせよ、効果測定をすることは重要です。 しかし、正しく効果測定をするのは決して簡単なことではなく、手元にあるデータをどのように組み合わせるか・どう分析するかは担当者のセンスが問われます。

認知度の調査

マーケティングの効果測定で調べる代表的なことが、認知度に関する項目です。 商品やサービスがどれだけ知られているか、ライバルと比べてどのようなイメージを持たれているかを分析しましょう。 消費者に「○○といえばなんといってもXX社」とイメージしてもらうのは難しいことですが、ここまで到達できれば安定した利益を生み出せるようになります。

アンケート調査の実施

認知度を調査するための代表的な手法が、アンケートの実施になります。 Webアンケートだと、ライバル他社の商品画像なども簡単に見せられ、自社の商品が他社と比べてどれだけ有名かといったことも容易に調査可能です。 また、Webアンケートは場所を問わず、世界中のユーザーから回答を得られるメリットもあります。 商品やサービスの認知度に年代差・地域差などがある場合、次回のプロモーションの課題として設定できるでしょう。 逆に認知度の高いユーザー層にターゲットを絞り、より強く訴求していく戦略をとることもできます。

リピート率の分析

定期利用・購入が前提の商材ではリピート率を分析し、よりリピート率を高めるように工夫していくことも重要です。 ユーザーが一度利用・購入してもリピートしてくれない場合、さまざまな理由が考えられます。 たとえば、他社と比較して圧倒的な魅力を感じられなかった場合、似た特徴を持っていて、価格の安い競合ライバル製品を選ばれてしまう可能性が高いでしょう。 リピート率の向上はLTVなどの指標も上がり、企業の利益を直接押し上げる要因になる可能性が高いです。

購買行動の分析

ユーザーの購買行動を分析することも、その後のマーケティングに役立ちます。 たとえば、オンラインを通して購入・予約する顧客の割合が多いか少ないかだけでも、その後に打ち出すべきマーケティング戦略が大きく変わってくるでしょう。

売上や販売数量の比較

購買行動の比較で最も基本となるのは、売上や販売数量の比較です。 売上が常に右肩上がりになるのが理想ですが、商材によっては季節などの影響を受けることもあります。 また、ライバル他社の新製品が出たり、大々的なキャンペーンの影響が落ち着いたりした直後は、どうしても数値が下がってしまうこともあるでしょう。 そのため、売上が上がった・下がったという事実だけで一喜一憂せず、その理由は何か・具体的な対策が必要かを分析することが大切です。

購買パターンの分析

ユーザーの購買パターンを分析すれば、ユーザーにより頻繁な購入を促すことができるようになる可能性があります。 たとえば、リピーターが好む商品・サービスが何かを知ることができれば、商品開発や新規顧客獲得に向けた広告戦略につなげられるでしょう。 購買パターン分析は、アンケート調査などをやらなくても、売上データなどを見て実施できる活動です。 データ・数字を参照することで、思い込みなどのバイアスを排除し、より精度の高いマーケティングをできるように、定期的に実施していきましょう。

満足度調査

満足度調査も、ビジネスにおいて非常に重要な効果測定の1つといえます。 ユーザー満足度の低い商品やサービスは初期に好調であっても、やがて失速していく可能性が高いでしょう。 とくに接客を伴うサービスなどでは、価格や品質以外の満足度がリピート率を大きく左右することがあります。

アンケート調査の実施

満足度調査も認知度調査と同じく、多数のサンプルからデータを得たいのであれば、アンケート調査が第一の選択肢になるでしょう。 しかし満足度調査は、アンケートだけでは見えてこない部分がある可能性も高いです。 ユーザーが満足なのは「不満がない」という意味なのか、「大好き」「またぜひ利用したい」という意味なのかは異なるでしょう。 「不満がない」だけであれば、結果的に満足度調査の結果が良くても、リピート率が低くなることも考えられます。

フィードバックの収集

満足度調査では、アンケート調査だけで満足せず、フィードバックを収集するのがおすすめです。 改善点がないか、社内外のさまざまな立場の方から意見を聴くようにしましょう。 開発社員がまったく気づけなかった課題を、実際に商品やサービスを利用したユーザーから指摘される事例はたくさんあります。 逆に、開発陣が気にしていなかった商品の魅力を、ユーザーから褒めてもらえることもあるでしょう。 それを次のプロモーションでアピールポイントに設定し、新たなターゲット層を開拓したり、新規顧客を獲得したりするのに役立てられる可能性もあります。

マーケティング施策の改善

効果測定で自社のマーケティングに課題が見つかった場合、それをしっかり改善につなげなければ意味がありません。 マーケティング部門の分析結果を、営業・広報・開発部門など社内全体で共有できるように、報告することが大切です。

評価結果の分析

評価結果の分析を分かりやすい資料でまとめることは、次の改善につなげるための第一歩でしょう。 その資料をもとに、社内のプレゼンなどで改善に向けた提言をしていくことになります。 以下の見出しで、分析時・提言時のポイントを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

評価結果の分析

社内他部署のメンバーに評価結果の分析を伝えるためには、いくつかのポイントに気を配る必要があります。 たとえば、マーケティング部門だけで通じる言葉を極力使わない・改善点を箇条書きで分かりやすくまとめる・課題に優先順位をつけるといった工夫ができるでしょう。 とくに課題が複数見つかった場合、一番大きな課題がどれなのか明らかにすることが大切です。 広告戦略・プロモーション・販売促進方法のどこか一点に絞り、議論するほうが良い結論を得られることもあるでしょう。

改善のための提言

営業・開発に直接タッチしていないマーケティング部門の方が、営業手法などに提言をして理解を得るのは簡単なことではありません。 課題が見つかったとしても、相手のやってきたことを否定するのではなく、提言やフィードバックといった形で示すほうが、相手に受け入れられる可能性が高いです。 役員・経営者に提言をする際も、全否定ではなく、良かったことと課題点を両方伝えるのが良いでしょう。 もちろん提言を受け入れてもらうためには、常日頃から社内の他部署と良いコミュニケーションをとっておく努力も必要です。

まとめ

マーケティング戦略を変えることは、企業にとって大きな挑戦になるでしょう。 しかし戦略立案が売上を大幅に左右する可能性は高く、業績が好調なときも不調なときも継続して取り組まなければなりません。 常に戦略立案→実施→効果測定→改善のサイクルを回し続け、より良いマーケティングをできるようにしたいという意識を持ち続けることが大切です。 立てた戦略を確実に遂行できるようにするため、他部署との連携を密にしていくことも忘れないようにしましょう。

この記事を友達におしえる!

LINEで送る ツイートする シェアする URLをコピーする

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます